2011年11月のアーカイブ

2011.11.13  坂 茂(ばん しげる)さん。その、すばらしい建築理念。

冬がくる東北被災地に、
3階建ての新しい住宅が建ちました。
入居者の第一声は、「広〜い!」という喜びと感動の声。
ゆとりある間取り。そして、実生活に欠くことのできない
収納設備が、十分に配慮された住まいなのです。
そこに暮らす被災された方たちが、どれほど助かることか。
細心、そして温かい想像力が生み出した被災者住宅。
NHK「ニュース深読み」で見たぼくも感銘。
設計者は、あの坂 茂(ばん しげる)さんでした。

「被災者が、がまんすることはないのです。
 よりよいものをつくって差し上げたい」
坂さんはこう語っています。
「作品と社会貢献の両立」を信念とされている建築家の、
なんとすばらしい思想でしょう。
被災された方がたが、何よりも人間の尊厳を保てること。
その価値観が建築設計の基本にあるのだと思います。
構造に鉄製の貨物コンテナを用いた強固な住まい。
地震と津波の恐怖を体験された方がたに
大きな安心感と希望を提供していることでしょう。
相手のことを思い描く想像力と、倫理性。
これこそ、持続可能な社会貢献ではないでしょうか。

坂さんが2007年、東京お台場で、貨物コンテナと
紙の筒を活用した大展示館で、グレゴリー・コルベールの
写真展「ashes and snow」を見た折の感動を思い出します。

坂 茂さんの考えと仕事のしかた
坂さんは、建築に際してなによりも「目的」を深く考え
素材を臨機応変に選ぶようです。紙の筒、貨物コンテナー、
木材、ビールケースまで。それらの絶妙な組合わせ。
とくに災害地支援活動では、迅速性、安全性、快適性、
経済性が求められるからだと思います。

国の内外で「災害地支援活動」を続ける
1994年:ルワンダ内戦で200万人近い難民が出た折りは
「紙管を使ったシェルター」を作り、国連と支援。
1995年:阪神・淡路大地震のときは、神戸市の新湊川公園に
急遽、仮設住宅「紙のログハウス」を建設。
壁と小屋組は紙管で、墓礎はビールケース中に砂袋を詰めて
使うなど臨機応変。迅速・保温・安全・安価の追求です。
知恵が生みだした前衛的な実用建築といえるでしょう。

海外でも『ハノーバー国際博覧会日本館』はじめ、
フランス東部メス市にできた『ポンピドゥー・センター』
分館の設計を2003年の国際コンペに当選して担当。
日本人としての独特な感覚を生かした
革新的な建築として、世界の話題になっています。
(2011.11.13.A)

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