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石川淳哉「ソーシャルグッドの男」 Vol.01

僕がホールディングス化を決めた理由

「ユメ ヲ カタチ ニ」をコンセプトに、あらゆる手法を駆使する唯一無二のクリエイティブ・ブティックとして誕生したドリームデザインは、来年の設立20周年に向け2016年4月1日、傘下に3つの新会社を発足させ、ホールディングス化した。
そんなドリームデザインの代表取締役、石川淳哉の「頭の中」をお見せします。
(取材・文/水谷美紀)

dreamdesign 石川淳哉 junya ishikawa

石川淳哉junya ishikawa

ソーシャルグッド・プロデューサー
1962年大分県生まれ。世界のさまざまな社会課題を解決するために、クリエイティブの可能性を追求する人生と決断。
株式会社ドリームデザイン(HD)代表取締役、株式会社ベターワールドエナジー取締役、公益社団法人助けあいジャパン共同代表理事、一般社団法人with ALS理事、一般社団法人国際平和映像祭顧問

ホールディングス化のヒントは式年遷宮

水谷 ドリームデザインの最大の特徴といえば、CMから広告、バズプロモーションにインターネットと、あらゆるクリエイティブをワンストップで制作できる点ですが、それを敢えてホールディングス化しようと思った理由は何ですか?

石川 大きなきっかけになったのは、実は伊勢神宮の式年遷宮です。20年に一度、全てを壊して新しい宮を建て替えるのを見て、スゴイ、こりゃ発明だと思った。式年遷宮というのは、いつまでも新しく居続けるための錆びないシステムで、会社にも適用したいと考えたんです。

水谷 ホールディングス化は、ドリームデザインの式年遷宮だったのですね。

石川 2017年の三月に20周年を迎えるんです。古くからの建物が残り続けることを価値に思う人もいるでしょうが、僕は式年遷宮から、仕組みと想いが続いていれば、アウトプットや見た目は生まれ変わっていいということを学びました。そこでドリームデザインを、同じ形のままただ長く存続させるのではなく、幾らでもぶっ壊せる会社にしようと思ったのです。実はそれは会社や社員のためでもあるけれど、何より僕自身のためでもあります。僕個人の目標である「100%ソーシャルグッド」を実現するためにも、会社の業務と切り分けることが必要だったのです。

会社の夢とは別に、自分の夢も形に

水谷 これまでも石川さんは『retired weapons』や『助けあいジャパン』などソーシャルグッドな活動をされて来ましたが、「100%ソーシャルグッド」というのは、今後はソーシャルグッドに関わる仕事だけをやっていくという宣言ととらえていいのでしょうか?

石川 はい、そうです。社長業務はこれまで通り行いつつ、今後、石川淳哉個人としてはソーシャルグッドの仕事だけを行います。同時に、これまで取締役だった3人にそれぞれ一国一城の主になってもらい、僕とは違う彼らの夢を形にしてもらいます。

水谷 新社長3人の反応は?

石川 前から話していたので、いよいよ決断したかといった感じでしたね。3人ともほぼ設立時のメンバーで、20年一緒にやって来た仲間です。でも、昔の仲間と20年続くというのは、良い面もあれば、そこから抜け出せていないという面もあります。だから、この辺でセルを分けてみようと。もちろんホールディングだから関係が切れるわけではないし、これからの方が社長同士の関係も、クライアントとの関係も、さらに良くなっていくと信じています。今回は体制を変えただけでしたが、20年後にも会社が続いていたら、その時は社名が変わってもいいし、クリエイティブ・ブティックじゃなくなってもいいとさえ思っています。いつの時代にも最適な、その時代の課題に向き合える会社であってこそ、ドリームデザインですから。

僕はなぜ「ソーシャルグッドの男」になったのか?

水谷 ところで前々から石川さんにお尋ねしたかったのですが、昔からソーシャルグッドに関心があったのですか? 実は大変失礼なのですが、イメージにちょっと合わないなと密かに思っていたので…。

石川 それはよく言われます(笑)。そして実際、昔はむしろダークサイドの住人で、欲望の赴くままに突き進むような若者でした。この業界に入ってからもずっと、人をどうやって驚かせようとか、発信をどうすればいいかということばかり考えていて、社会や地球のためにクリエイティブという職能を活かそうなんて、これっぽっちも思ったことなんてなかった。

水谷 そんな石川さんをここまで変えたのは何ですか? やはり東日本大震災ですか。

石川 東日本大震災はもちろん大きな出来事だったけど、実はその前に強烈な体験をしているんです。水谷さんは911が起こった年に出版された『世界がもし100人の村だったら』という絵本を知っていますか?

水谷 はい、もちろん。大ベストセラーになりましたね。

石川 実は出版時、恩師に無理やり巻き込まれて深く関わったのですが、あの本との出会いが、そんな僕を今のように変えたんです。

Vol.02 『世界がもし100人の村だったら』との出会いで僕は変わった

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