The Interviews

操上勝司「未来を描くデジタルマーケティング」 Vol.02

数字とブランド、
両方を求める顧客に

今、企業は広告に限らず、在庫管理や人事、商品開発や顧客の消費動向のデータ作成にも最先端のデジタル技術を取り入れています。
今回は数字を重視しつつ、同時にブランドも伝えたいクライアントにidiomと操上が指名される理由について紐解いていきます。
(取材・文/水谷美紀)

デジタルマーケティングからコンテンツメイキングまで

混同されやすいのですが、デジタルマーケティングとウェブマーケティングは同じ意味ではありません。ウェブマーケティングはウェブを使ってマーケティングを行なうことを指しますが、デジタルマーケティングはこのウェブマーケティングを包括しつつ、さらに消費者のリアルな行動や店舗での接触、アンケート結果などあらゆるデータをデジタル化し、そこに基づいてマーケティングを行ない、どうアクションしていくかまで考える仕事を指します。さらにidiomでは僕自身ずっとコンテンツを作る仕事を並行して行なって来たことを活かし、デジタルマーケティングを活かしたクリエイティブまで行なっています。なので、一般的に言われているマーケティング会社より、やることは多いし、手がける領域もかなり広いです。このようにデジタルマーケティングとクリエイティブを上手く繋げて提案できる会社はまだ非常に少ないと思いますが、クライアントも、デジタルマーケティングを取り入れたプロモーションに積極的な企業もあれば、まだ準備の整っていない企業もあります。実情は、まだどの企業も完全には実現できていません。今はちょうど全ての企業がそこに向かって進んでいる過程にあると言えるでしょう。

今、アメリカの大手小売業が面白い

そんな中で今、頭一つ抜けているというか、僕が見ていて面白いアクションをしているなと感じるのは、ウォルマートなどアメリカの大手小売業です。実はこういう業界がデジタルを最も上手く取り入れて、大きな成果を上げています。日本のホームセンターでも始めている所もあると思いますが、例えばこの工具の名前が分からない、となった時に、その店のアプリを入れて写真を撮ると、このコーナーにありますよと導いてくれるとか、そういうサービスがもはや当たり前になりつつあります。他にもさすがだなと思うのは、買い物カートに商品を入れるとライブチャット用のウィンドウが立ち上がり、ためらっている客に、どうしました? とスタッフが話しかけ、タイムラグなく相談に乗ってくれるサービスも始まっています。日本でも時間の問題で、こういった取り組みはどんどん導入されていくでしょう。

アメリカはネットも非常に発達していますが、その反面、田舎に行くとあまり娯楽がないため、買い物自体が大きなエンターテインメントになっています。日本だとイオンモールなんかがそれに当たりますが、日本とはスケールが違う。Bass Pro Shopsというホームセンターなんて半端じゃなく巨大な商業施設もあります。そんな所では、まさにない物がないくらい、あらゆる物が売られています。だた問題は、商品の計り知れない点数です。これはもうデジタルじゃないと管理できない。そんな側面もあって、アメリカの小売り業はデジタルを駆使した取り組みが急速に発達したのです。商品管理や物流をデジタルで管理するのは当然として、マーケティングもデジタルによって徹底的に行なわれています。カードを作っている顧客なら、ポスレジに通した段階で何回目の来店か、何を買っているのか、消費動向も分かるし、データにして管理できる。今まではそれを店内で買い物をする際のインストアマーケティングに使っていたけれど、今はメールレターやFacebookに反映させて、その人が閲覧している時にどんな広告を出すのかというところまで進みました。そしてこのようなアプローチは、皆さんもご存知のように、日本でもとっくに行なわれています。

ブランドを伝えたい顧客に指名される理由

そんな中で今、私達に求められるのは、その先のデジタルマーケティングです。ここまでの話だと、結局は買う・買わないに特化した、極端に言えば安売りの情報を効率的に届ける方向にどんどん進んでいきます。購買に導くアプローチは絶対に外せませんが、idiomを指名してくれるクライアントは、商品情報を届けたい、売りたいという考えと同時に「ブランドを伝えたい」という気持ちも強く持っていることが多く、その両方に答えられるデジタルマーケティングの会社を探しているのです。ありそうでない、という事でしょうか。

実は今までのドリームデザインはその構図が真逆で、クライアントのブランドを伝える良いコンテンツを作ることで知られる会社でした。そして作ったものをどう届けるかは、広告代理店など別の会社の仕事になっていました。けれども現在、idiomは届け方、ターゲットの設定、KPIの設定までも全て行ないます。そして最初にお話したように、単体でコンテンツを作ることもありますし、プロデュースだけ行い、実制作はグループ会社のbondや、外部のプロダクションに発注することもあります。KPIを設定し、PDCAサイクルに則って継続的に運用していくことをデフォルトとしつつ、クライアントが大事にしたい「ブランドを伝えるクリエイティブ」の選択も行える。これはデジタルマーケティングと同時にずっとコンテンツを作る側だった僕とidiomにとって最も得意なことです。そして時には瞬間的に数字を出すプロモーションと、時間をかけてブランドを伝える、クライアントにとって真の意味で財産になる提案の両方を行います。

その具体例となる仕事をちょうど今、手がけています。次回はその仕事を事例として挙げながら、変わりつつあるコーポレートサイトの未来についてお話したいと思います。

Vol.03 財産になるコンテンツを!
idiom 操上勝司 katsushi kurigami

操上勝司katsushi kurigami

1966年生まれ。
最近、自転車に乗って自分は坂を登るのが好きだと気付いたクリエイターです。

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