The Interviews

大城英一郎「ロマンスを生むプロデュース術」 Vol.06

新しいタイプのプロデューサーが
活躍する時代へ

選ばれるメディアも、その手法もめまぐるしく変化している中、プロデューサー自身も大きな変化を求められています。2017年、ロマンスを生むプロデュースのために、大城が考えるこれからのプロデューサーに求められるものは?
(取材・文/水谷美紀)

炎上やトラブルの可能性を見極められるか?

ここ10年で、我々プロデューサーが請け負う仕事は非常に幅が広がり、先鋭化されてきました。選択するメディアも変化し、これまでの人材や広告コミュニケーションが通用しない局面も見られます。2017年は昨年以上に、これまで経験したことのない案件や、新しい手法に挑戦する機会が増えて来るでしょう。

大きな変化といえば、制作者の選択が変わって来ました。例えば企業のプロモーションに動画を使う場合、黎明期は大手の制作会社に発注することが多かったのですが、最近はWEB動画専門の制作会社も増えたこともあり、より小回りのきくの制作会社に依頼することが増えています。これまでずっと、デジタルやCM以外の動画でのプロモーションは、あくまでスタンダードな広告の延長にあるものでした。そのためアウトプットもスタンダードな広告をそのまま、あるいは多少アレンジして展開することが多く、単に出し場を変えただけというものも多かったんです。

けれども近年、その主従が逆転しつつあります。アナログな広告よりデジタルやCMではない動画がプロモーションの主役になることも増えています。それとともに、制作のヒエラルキーも変わりました。これまではマーケティングの傘の中に広告、店頭、デジタル…という順列で置かれていましたが、今はまずデジタルが大きな傘となり、その中にマーケティング、広告、店頭がぶら下がるような図式になりつつあります。

未体験や変化を楽しめているか?

これまでの広告はクリエイター・オリエンテッドなものも多く、「この広告は誰が作ったか」「どの制作会社の仕事なのか」が重視されて来ました。そこも少し変わりつつあります。テクノロジーの進化が速まり、流行のサイクルが短くなっていることもあって、大御所クリエイターや有名制作会社のネームバリューに頼り、あそこに任せておけば安心、と楽観できなくなりました。むしろ、どんなテクノロジーを使えば、あるいは組み合わせれば、どんな新しい化学反応を起こせるのか、そのために必要な人材は、というプロデューサーの発想からヒットに繋がる場面も増えて来ると思います。

その一方で、従来からのプロデューサーに求められる管理能力の高さも、ますます求められる傾向にあります。

今のように手法の自由度がどんどん増すと、それだけ誰が責任を取るのかが分かりにくくなる二律背反が起こります。一般の人が気軽に投稿する写真や動画のように、責任の所在として投稿者本人のアカウントを載せておけばOKというわけにはいきません。段取りや問合せ先の確保、リスクヘッジなど、準備もフォローも万全にしないといけない。デジタル時代になり、これもますます難易度が上がっていますが、同時に、外せない能力になって来ています。

デジタルを使ったプロモーションでは、急速なファン化の促進とともに、炎上のリスクという二極化の可能性が起こります。プロモーションが失敗した場合、単に不発に終わるだけならまだしも、一歩間違えれば大炎上が起きる危険もはらんでいます。そのため、最近では従来のスタンダードな手法に戻って行く企業も増えていますが、伝え方とリスクヘッジをどうバランスさせるのか?は、大きな課題のひとつと考えています。

“新しもの好き”こそ、プロデューサー!

消費者が企業に求めるものも変わって来ました。これまで企業というのは「与える側」であり、消費者を「誘(いざな)う側」でした。けれども近年では「寄り添う存在」へと変化し、そこに合わせて多くの企業もブランドスイッチを行なっています。そして、与える側でなくなったということは、よりリアルな双方向コミュニケーションを生み出す必要性が生まれたことでもあります。この実現もそう簡単なことではありません。

このようなシビアな時代を反映し、クライアント自身にも変化が見られます。クリエイター以上にクリエイティブに精通し、情報を持っている方々もいらっしゃいます。通り一遍のことをやっていても効かないので、次の一手にかける情熱や意気込みが強くなっていることの表れだと感じています。そんな優れたクライアントと一緒にプロジェクトを進めている僕達プロデューサーが、遅れをとる訳にはいきません。

そんな状況の中で力を発揮するプロデューサーというのは、新しいもの、世の中で起こっていることなど、その時々で注目されているものに根っから興味を持てる人間だと思います。義務や仕事だからではなく、常に新しいものにアンテナを働かせ、変化を面白がり、仕事のヒントにできる。年齢に関係なく、感性のフットワークの軽いプロデューサーが、これから活躍できる時代になっていくと思います。

ドリームデザイングループは、アナログ主流の時代からいち早くデジタルに対応し、ずっと高く評価されて来ました。ですが近年ではデジタルだけに特化したプロモーションも増えており、プロデューサー集団であるPROMANCEも変化の時を迎えています。これからは、これまでの常識にとらわれない、ユニークなデジタルネイティブのプロデューサーが求められる場面も増えて来るでしょう。引き続き次の10年も活躍できる経験豊富なベテランはもちろん、そんなフレッシュなプロデューサーの後押しをする役目も、担っていかなくてはいけないと思っています。

PROMANCE 大城英一郎 eiichiro oshiro

大城英一郎eiichiro oshiro

1964年沖縄県生まれ。
斜めに首を振らないよう、ロマンと創意工夫を旨とする。
株式会社プロマンス代表取締役

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