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大城英一郎「ロマンスを生むプロデュース術」 Vol.01

プロデューサーの仕事とは?

株式会社ドリームデザインのホールディングス化によって株式会社PROMANCEの社長に就任した大城英一郎。社員全員がプロデューサーという希有な会社の代表となった大城もまた、一人のプロデューサーとして日々、奮闘している。
そんなPROMANCEが目指すのは、社名の由来にも繋がる「結果を出すだけでなく、ロマンスのあるプロデュース」。敏腕なロマンチスト、大城英一郎のプロデュース術をご紹介します。
(取材・文/水谷美紀)

PROMANCE 大城英一郎 eiichiro oshiro

大城英一郎eiichiro oshiro

1964年沖縄県生まれ。
斜めに首を振らないよう、ロマンと創意工夫を旨とする。
株式会社プロマンス代表取締役

広告プロデューサーの領域

「プロデューサーって何をやる人なのか分からない」。この仕事に就いて、色んな方からよく言われることです。それは業界によってプロデューサーの仕事の領域が大きく異なることも関係しているでしょう。僕は広告のプロデューサーなので、ここでは広告プロデュースの領域と、PROMANCEが目指すプロデュースについてお話しします。

僕が関わる仕事はブランドワーク、CM制作、イベント、ポスター、SNSプロモーションetc,とさまざまですが、プロデューサーとしての基本的な役割は同じです。それは一言で言えば「生み出すこと」です。期日までに納品する管理者としての側面も持ちつつ、生産における全責任者でもあるのがプロデューサーです。プロデューサー自身が手を動かして物を作ることはありませんが、アウトプットまでの全ての過程を作り出しています。
プロジェクトが発生すると、あらゆる要素要因に備えて予算配分をおこない、管理をし、プロジェクトを引っ張って行くわけですが、全てが必ずしもスムーズに行くとは限りません。いや、スムーズに行かないことの方がほとんどでしょう(笑)。進行中に起こる様々な凹凸を上手くならしながらプロジェクトを動かして行くのがプロデューサーの日常です。

その仕事にロマンスはあるか?

さて、ここまでは一般的な広告プロデューサーの説明ですが、我々PROMANCEに所属する全プロデューサーが大切にし、社名にも紐づくポリシーがあります。それが「結果を出すだけでなく、ロマンスのあるプロデュースを行なうこと」です。

近年、プロデューサーの仕事もロジックが強く求められ、仕事によっては戦略プランナーやマーケッターの役割に近くなっています。それ自体は良い悪いという話ではありませんが、ガチガチにロジックで固めたプロジェクトを進めていると、ふと、何が楽しくてやっているんだろう? と思うことがあります。そのような手法をとったコミュニケーションは手堅く、失敗はしないかもしれません。けれどもそれだけでは何かが足りない。本当の意味で成功とは言えない。その「何か」の総称を我が社では「ロマンス」と呼んでいるのです。

ロジックからアウトプットに至るまでの間には、本来ならば必ず色んな人の欲望や夢、時にはエゴが入って来ます。それを全て否定し、あまりにも理路整然としたものばかり作っていると、極端なことを言えばスマホでポチッと購入して終わりというコミュニケーションでも良いんじゃないか、という事にもなり兼ねません。僕らはそうではなく、人が「楽しんで消費する」ことを念頭に置いたコミュニケーションを生み出したい。そのために、作り手にも受け手にもロマンスが感じられるプロデュースを目指しているのです。

予測不能な仕事をプロデュース

そんなプロデューサー集団であるPROMANCEですが、常に余裕を持ってロマンスのある仕事を生み出しているわけではありません。時には危機一髪というような経験もしますし、望むアウトプットが出来ないかもしれないという場面に遭遇することもあります。でもそんな時ほど、PROMANCEという社名が頭をよぎり、「そのプロデュースにロマンスはあるか?」という問いが浮かびます。そして、基本に立ち返ったことでピンチを脱し、素晴らしいコミュニケーションを生み出せたケースも少なくありません。

もともと我が社に依頼されるのは前例のない仕事が多いため、世に出した後に何が起こるのかが想定できず、プロデューサーとしては心配で眠れなくなることもあります(笑)。でもそれってちょっと、恋愛に似ているように思いませんか? 予測可能なコミュ二ケーションより、どう化けるのか、何が起こるのか分からない仕事をワクワクしながらプロデュースするのは、大変だけど懸命になるし、やり甲斐もあります。それは無難な恋愛より、ドキドキハラハラする恋愛のほうが夢中になるのと近いように思います。もちろん失敗が許されないのは恋愛と大きく異なりますが(笑)、PROMANCEが目指すのは恋にも似た、ロマンスのあるプロデュースなのです。

ではそれは具体的にどういう事なのか。PROMANCEが目指すプロデュース術を、次号からお話ししていきましょう。

Vol.02 “初体験”に導くプロデューサー

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