The Interviews

大城英一郎「ロマンスを生むプロデュース術」 Vol.02

“初体験”に導くプロデューサー

「ロマンスのあるプロデュース」を掲げる株式会社PROMANCEの代表・大城英一郎。
彼の手がけるプロジェクトの数々は前例のないものになることも多い。
限りなくリスクを払いつつ、新しい世界に導く。ロマンスという甘い言葉に秘められたアグレッシヴなプロデュースを紹介します。
(取材・文/水谷美紀)

斬新な提案をぶつけるリスク

前回(Vol.01)では広告プロデューサーの仕事と、PROMANCEが掲げる『ロマンスを生むプロデュース』についてお話しました。今回は実際に僕がおこなった、ロマンスのあるプロデュースの例をご紹介しましょう。

僕の手がける仕事は過去に例のないプロジェクトになることが多く、それが大城英一郎というプロデューサーの特色にもなっているわけですが、最適だと判断した結果そうなるだけで、いたずらに変わったことや新しい手法を提案するわけではありません。それでも僕に依頼してくれるクライアントの多くは、競合他社がまだやっていないプロモーションに挑戦できるキャパシティのある企業や、それにふさわしい商品を持っている企業が多いという、面白い特徴があります。そのため、よくぞ僕に頼んでくれたとプロデューサー冥利に尽きる案件もたくさんあります。ロマンスのあるプロデュースを目指す僕としては、望むところと言えるでしょう。

反発や不安をどう押さえるか?

ドリームデザイン時代の話になりますが、あるクライアントからの依頼で、有名フォトグラファーに写真を撮ってもらう権利をプレゼントするというキャンペーンを行ないました。この場合、フォトグラファーの選定が上手くいけば概ね成功は約束されます。ただそこには、募集から発表までの過程全てを当時まだ珍しかったSNSだけで行なおうというハードルがありました。クライアントにとっても未知の部分が多く、特に集客についての方法論を激しく試されることになりました。

クライアントからは、「参加してくれるのか」「本当に話題になるのか」といったネガティブな回答を頂きました。企画の内容は気に入って頂けましたが、参加したくなる気持ちの醸成や、ディティールに関しては難色を示され、提案と議論を繰り返しました。

けれども僕の中では、このプロジェクトは成功するという確信がありました。これまでのプロデューサーとしての実績と、デジタルに強いドリームデザインで培った経験からも、SNSだけでプロモーションを行なうほうが効率的で、且つ話題になることは明らかでした。クライアントの希望に可能な限り応えるのもプロデューサーの仕事ですが、それ以上にクライアントと一緒に新しい世界を目指し、成果を出すのが僕らの使命です。時には考えが異なる場合もあり、最悪、変更せざるを得ない時もあります。けれども不安要素があるからといって安易に提案を翻すのは、誠実でも忠実でもありませんよね。自信をもって提案し、確実な結果を出すことで応えるのが、クライアントに対する最高の誠意なんじゃないかと、僕は思うんです。

慎重に、それでいて大胆に

結局クライアントの不安を解消するために、あらゆる手を打ちました。まずフォトグラファーを人気・実力ともにトップクラスの人にオファーすることで、集客に対する不安は払拭しました。たまたま僕がその人と仕事をしたことがあり、信頼関係も出来ていたためオファーはスムーズに出来ました。こういう時に使える切り札を持っているのも、ベタですがプロデューサーとしては不可欠な能力です。

他にもその間は出来る限りコミュニケーションの時間を取り、悩みや疑問をストレートにぶつけてもらい、リアルでの仕掛け、仕組み、サイト上のUI、UX等々、ひとつひとつ不安要素を取り除いていきました。そうしてほぼ提案したままの形で進めることが出来ました。結果プロジェクトは成功し、クライアントのブランドイメージ向上にも大いに貢献することができました。

僕はとても慎重な人間で、自分では臆病なくらいだと思っているのですが、それは進行や管理の話であって、提案に関しては保守的ではありません。リスクもない代わりに目新しさもないアプローチでは、夢も、ロマンスも芽生えません。これまで誰もやっていないプロジェクト、独創的で新しい手法を時には大胆に提案し、付随して起こる様々な問題は丁寧に、確実に潰していく。提案当初は「大丈夫だろうか」と思われていたものが、段々と手応えを感じて頂き、プロジェクト終了後には「このチームに頼んでよかった」「また一緒にやりましょう!」と言われ、エポックメイキングな仕事として刻まれていく。それこそが僕の望むロマンスのあるプロデュースなのです。

プロデューサーの仕事はプロジェクトを動かしていくことであり、そこにはスタッフだけでなくクライアントも含まれます。まさに呉越同舟ともいえるプロジェクトの船頭としていかにロマンスのあるプロデュースを発揮し、成功に導くか。次回はその過程におけるプロデューサーの視点についてお話しましょう。

Vol.03 プロジェクトのコントロール法
PROMANCE 大城英一郎 eiichiro oshiro

大城英一郎eiichiro oshiro

1964年沖縄県生まれ。
斜めに首を振らないよう、ロマンと創意工夫を旨とする。
株式会社プロマンス代表取締役

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