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大城英一郎「ロマンスを生むプロデュース術」 Vol.04

プロデューサーに求められる資質

大胆な判断を下し、プロジェクトをぐいぐい進めていくのもプロデューサーなら、細かくスタッフの動きを把握し、適宜、指示を出すのもプロデューサー。プロデューサー集団、株式会社PROMANCE代表の大城英一郎が、リーダー的な要素と、慎重で繊細な管理者といった二面性を必要とされるプロデューサーの資質について語ります。
(取材・文/水谷美紀)

「臆病者」を自称できる勇気

Vol.02でも触れましたが、プロデューサーには大胆さと慎重さの二面性が求められます。要所要所で大きな決断を下し、時にはリーダーシップを発揮してプロジェクトを進めるため、豪放磊落、人によっては傍若無人なキャラクターに思われるのもプロデューサーです。けれどもその判断に到るまで、繊細過ぎるほど丁寧に人を見ているのもまた、プロデューサーなのです。

僕は長いプロデューサー生活で何度も痛い目に遭っていますから(笑)、特にあれもこれもと慎重に考えがちです。あれは大丈夫だろうか、これは問題ないだろうかと、何度も検証しますが、不安は常につきまといます。それを敢えて「臆病な性格」と言っていますが、プロデューサーの判断ひとつで大きなプロジェクトの成功が左右されてしまうので、むしろ臆病になって当然だと思っています。責任感と言い換えてもいいでしょう。

重要な仕事を人に任せる時は、常に「この人、大丈夫だろうか?」と考えます。といっても、信用が出来ず、疑うという意味ではありません。そもそも大事なメンバーに信用できない人は入れませんし、クライアントに対しても信頼関係を築いて進めるのがPROMANCEのやり方であることはVol.03でもお話しました。ただ、いくら素晴らしい信頼関係や強い結束があっても、プロジェクトは生き物です。何が起こるか分かりません。そのため僕は「この人ならどうやるのだろうか」「どう考えるのだろうか」と探り、先を読んで動きをシミュレーションしていくのです。

実はそれと同時に、僕は「この人は僕にどうして欲しいのだろうか?」とも考えています。プロデューサーはプロファイラー的でもあると言いましたが、自分が相手にやれる事を考えるだけでなく、もう一歩進めて、相手がどうして欲しいと思っているかというところまで汲み取れる能力は、プロデューサーにとって実は重要な資質です。人によっては正直にアピールして来る場合もありますが、大体は思っていても口や態度に出さないし、そもそも、そういった不満や欲求に無自覚であることが大半です。でもそこを掬い上げることによって、業務や関係性がぐっと良くなることがある。見落としてはいけないポイントなのです。

キーパーソンを見つける目

プロジェクトには毎回、プロデューサーにとってのキーパーソンが出現します。それは、その人がスムーズに機能することで、プロジェクト全体の進み具合がぐっと良くなるメンバーのことです。その人に対しては常に動きを把握し、ある意味で手厚く管理をします。どの職業の人がキーパーソンになるかはプロジェクトによって様々で、一見すると目立たないポジションの人のこともあります。プロデューサーは全メンバーの動向に気を配っていますが、ほとんど干渉せず、放っておいて良い人もいれば、二人三脚的に進めることが吉と出る人もいます。ビジネスですから、それは信頼関係の大小や好き嫌いとは関係ありません。プロジェクトにおける役割や資質の違いです。プロデューサーにとっては全ての人が重要人物であり、頭の中で常にシミュレーションを行なっているメンバー表には、一人として欠けた人はいないからです。

このようにプロジェクトとメンバーを見ているプロデューサーですが、では、プロデューサー自身はどういった人間なのか。どういう人間が向いているのか。僕自身もたまに質問されることがあります。人の動きが計算でき、先読み能力に優れているので、勝負事やゲームにも強いのではないかと言われたりもしますが、僕に関してはまったくダメです(笑)。将棋やチェスなどはむしろ苦手です。多分それは、ゲームや勝負事がロジックに沿った計算を求められるものだからだと思います。プロデューサーの計算力や先読み能力の高さは、人間同士のケミストリーの中で発揮されるものなので、異質なのでしょう。

プロデューサーに向く性格とは?

同時に、プロデューサーをしていると人脈が広くなるので、人懐っこく社交性に溢れた人間だとも思われがちですが、これも当たっていません。そうだったらどんなに良いかと思うのですが、むしろシャイな性格で、社交的なタイプではありません。ところが言われてみると、確かに昔から友人は多かった。といっても、自分から積極的に話しかけて友達を作った記憶はありません。仲間といればよく喋るけど、普段は物静かなタイプです。そこで学生時代から今も続いている友人や、大人になってから仲良くなった仲間の顔を思い出してみると、これが実に個性的なメンバーで、元気な男ばかり。僕が目立つタイプなのではなく、目立つタイプの人間が何故か集まってくる傾向があるようです。それはまさに今、プロデューサーとしての自分の姿そのものと言えるでしょう。

プライベートな友人は主に、バイク好き、高校時代の仲間、映画好きの3つのグループに分けられています。それぞれ非常に濃いメンバーで、タイプもバラバラです。濃過ぎるために3つのグループの仲間が混じり合うことは、あまりありません。僕自身もそれぞれの集まりでディープな話で盛り上がるのが楽しい。これもまた、今の仕事に繋がっているように思います。

個性的なメンバーを束ねる仕事ですし、プライベートでも濃いメンバーに囲まれているわけですから、では人に合わせるのが得意なのか? そこを高校時代からの悪友に尋ねてみたら、「いや、協調性はむしろなかったね」という残念な答えが返ってきました(笑)。彼によると学生時代の僕は、一匹狼ではなく常に友達はいるのだけど、「非常に勝手に、良く言えば自由に行動していた」そうです。自分ではまったく意識していなかったので、意外な答えに驚きました。でもだからこそ今、ストレスの多いプロデューサー業を楽しめ、強烈なメンバーとフェアに付き合えているのかもしれません。

Vol.05 プロデューサー的リテラシーの磨き方
PROMANCE 大城英一郎 eiichiro oshiro

大城英一郎eiichiro oshiro

1964年沖縄県生まれ。
斜めに首を振らないよう、ロマンと創意工夫を旨とする。
株式会社プロマンス代表取締役

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