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2014.03.23 09:59

自分、そしてこの国がまとう空気の話。

「空気ってのは人間にまとわりつくものなんだよね、撮影の場合ね」大型モニタの液晶パネルの中の操上和美さんが語っていた。撮影現場でその空気をファインダーに閉じ込める事に成功し、雑誌や展覧会で見る者にその空気感までをも感じさせられたら操上さんの写真コミュニケーションが出来上がる。そのために、極めて過酷なジムワークを課している78歳を何度か目撃したことがある。ドリームデザイン役員デジタルコミュニケーションの先駆者・操上勝司の叔父、同じクリエイターで畏友岸野一雄の師匠ということもあり、いつも気になる大先輩なのだが、今日もドキッとさせられた。

自分自身の肉体と精神をまずいつも研ぎ澄まし、空気という見えない存在を知感し、その現場セッション周辺や相手を巻き込みその空気感をつくる。そうしてそれを見事にアウトプットにまで昇華しきる。これこそが愛される真のクリエイターなのかも。そう感じた瞬間だった。

最近、震災後の福島で農業を続けて行く事を決意した何名かの人々を取材する機会をいただいた。どの農家も徹底的に放射性物質検査をし、生活者との物理的そして心理的な距離を縮めるための努力をし続けている。安全で安心でしかもどこよりも美味しいものを、そしてその愛情を伝えたいとそれに立ち向かっている人たちだった。夏と冬の烈しい温度差がつくりあげるという蜜の寒暖林檎生産農家の安斎果樹園の安斎親子(なんと僕は美味しさのあまり林檎の木を一本購入してしまった)、郡山ブランド野菜協議会事務局長で「うつくしま復興大使」を務める藤田浩志さん、日本中から集まって白河から最高の野菜と野菜を愛でる文化を発明しようとしているチーム農魂。あああわかった、彼らは真のファーマーであるとともに、真のクリエイターなのだ。311以降、まだまだ小さいのだけれど、日本の各地域からこういうアクションが芽吹いてきているのを感じる。それがとてもうれしい。

さて、今朝も液晶パネルは隣国と政府の摩擦の深浅度合いに喧しい。いうまでもなく空気は国際的に空気だ。日本がまとっている空気は、世界の外側から見ると、今いったいどんなものなんだろうか。日本にも真のクリエイターであって欲しいと願うのは僕だけなのだろうか。

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