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2018.01.11 14:20

変更する勇気

一度決めたことを覆すのには困難が付き纏う。変えたとしても、多くのカロリーを要することとなる。一国一城の主とて「朝令暮改」などと揶揄され、人民の信頼を一気に失うなんてこともある。そのため、多くの場合は、忖度し、現状維持を決め込むことがままある。

国連が2018年1月1日付けでSDGsのアイコンを変えた。17のグローバル目標の10番目「人や国の不平等をなくそう」のアイコンを変更した。2015年9月に国連が決めて、世界中にお願いをして、二年ほどはなかなか広がらず拡散に苦労した。ところが昨年事態は急展開する。ユニリーバなどの大企業が「企業の成長は、マーケット自体が継続して初めて実現できる」というコペルニクス的な考え方を示したことで、どちらかというと消極的だった日本の経団連や経済産業省などもSDGs批准へと大きく舵を切った。加えて、ピコ太郎の動画や吉本興業が連続動画を作ったことなどで少しずつ一般生活者の元へも情報が届くようになった。そうなのだ。もはや、日本のみならず世界中へと、このアイコンは広がってしまっているのだ。これを変更するには、相応のカロリーやコストがかかる。でも国連は、このタイミングで変更を決めたのである。すべてを勘案し、今やるべきだと判断したわけだ。

個人的な誠に勝手な想像ではあるが、旧タイプのアイコンでは決定的に齟齬が生じたのだろう。=(イコール)を◯(サークル)で囲っているこれが示すのは、「平等は同一円上に存在する。一人一人は同じなのだ」と表現しているように見える。翻って、新タイプのアイコンは、「平等とは、上下左右みんな違っていることを認めることから始まる」と言っているように見える。極めて、今的なダイバーシティ的思考と言える。アイコンは文字どおり、すべての入り口として機能する。このようなダイアグラムはシンプルではあるが、意味を究極にまで集約させ収斂させアウトプットすることになるため、間違った(もしくは前時代的な)考え方をそのまま放置するわけには行かなかったのだろう。17の中のたった一つではある。でもそれは世界にとってとても大切な一つなのだ。

今回の変更は、きっと誰か一人の違和感から始まったのだと思う。それを真剣に検討し、多くの時間と労力をかけ、実行に移した国連に、クリエイティブを生業にするものの一人として心から賛辞を送り、敬意を払おうと思う。

SDGs:2015年9月の国連総会で採択された、持続可能な開発目標(じぞくかのうなかいはつもくひょう、英語: Sustainable Development Goals)で、SDGs(エスディージーズ)と呼ばれる。持続可能な開発のための17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)からなる。

17のグローバル目標
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に保健と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

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