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2018.03.05 10:21

POWERS OF TEN

ひいなの日、多少乱暴かもと思いながらも、いつもの通りこの映像から講演を始めた。参加者の「日常」と緊張感ある「講演」へ空気の存在感を一気に縮めるため、イームズ夫妻とIBMが世に送り出した「POWERS OF TEN」の力を借りている。1968年。今から50年前に創られたこの映像は、いつもの何倍も効果的に場の空気を変えてくれた。

一番前の席で、背筋を伸ばして睨みつけるようにこの映像を観てくれている人がいた。藤田和芳さん、オイシックスドット大地会長だ。ずっとずっと日本のオーガニック農業と食習慣を支え続けてきた立役者で、僕のヒーローの一人。「大地を守る会」には、結婚と同時に加入し、以来24年ずっとお世話になっている。今僕が二拠点生活の御殿場でオーガニック農園を仲間と営んでいるのも藤田さんの影響と言っても過言ではない。

その会長が、なんと僕の講演後の会長挨拶の内容をガラッと変えて、この映像と講演内容を受けて今後あるべき姿、生産者、協力会社と一緒に社会を変えていこうと力強く呼びかけてくれた。このような企業のプライベート講演を引き受ける機会が増えてきた。ご縁はありがたい、そして映像を冒頭に持ってくるかどうか最後まで悩んだが、そうしてよかったと心から思った。

昨年、その「大地を守る会」が「オイシックス」と合体し「オイシックスドット大地」となった。そして、今年の2月になって「らでぃっしゅぼーや」を買収した。買収とかM&Aなんてワードが飛び交うと物騒だが、市場もこの一連のM&Aを「日本型のウェットな(気持ちの入った)M&A」と好意的に捉えているようだが、これまでライバル会社だった日本のトップ3のオーガニック通販会社が一年足らずで、全て同じ会社になったのだから社会的事件だ。

そんな大切な時期に行われた外部協力会社との年に一度の大切な催しに呼んでいただき、40もの無手勝提言を受け入れてくださった藤田会長に改めて感謝の意を伝えたい。

初めて会う素性のわからない男に終わりが見えないほどの質問をくださった、全国のオーガニック生産者と加工業者の方々にも感謝を伝えたい。

全国の特徴ある地域の諸先輩方々が、文字どおり泥濘にまみれながら地道につなげてきたこの世界を継続していくための社会企業経営は、きっと次の時代に突入したのだと思う。

現実に、これまで変化を拒み続けていた世界を動かしていた大きな壁が決壊し始めていることを感じているのは僕だけじゃないだろう。ESG投資に世界の2500兆円が集まり、原発や火力発電所など地球の継続にそぐわないと考えられる企業から投資を一気に引き上げる事態へ(なんと爽快な!)。世界の元首や経済人たちが世界の市場での生き残りを探るために集まるダボス会議で、日本語の「生きがい」「Basic income」がテーマとして語られる(こんな日が来るなんて!)。SharingEconomyやBlock Chainが若い人を中心に資本主義経済をゆっくりゆっくりと溶かし始めている(あああ、神さまはやはりいたのだ!)。

さてここからが、勝負どころなようである。

「参考映像」
POWERS OF TEN

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