2011.04.12  折角、生きているのだから

 昨4月10日、詩人たちの小さな朗読会が開かれました。【歴程】というグループ4回目の朗読会です。同人のうち宮城県、福島県、埼玉県在住の数名は残念ながら参加できませんでした。家を津波で奪われた同人、避難所で支援活動中の同人、被害住宅立て直しの同人もいたのです。一般参加者も例年よりも少数、少し寂しい朗読会になりました。

 冒頭、主催者は巨大災害にふれて語り、上記の報告を行い、1分間の黙祷ののち朗読会を始めました。今年のテーマは「風」。これは、昨年末に決められていたものです。しかし、巨大災害を体験し、何人かは被災地を思う新しい作品を読みました。ぼくは『ぼくと、風たち』と題した数篇を。その中の4篇を記します。

 

1:高いところ

空の高いところを
大きな風が吹いており
ちっちゃなぼくらは
地上に立っている
中原中也も
あの風を見上げていた
茫洋 茫洋
と つぶやいて


3:目

風には 目がある と思う
その目は だまって
なにか とても大事なものを見ている
と 思う
トンボの背中に乗って
きっと 本質とか 実相とか
そういうものを
見ているのではないだろうか


5:崩壊 その1

しきりに吹いてくる東北の風
3月11日から吹いている
かつてなく悲しく かつてなく残酷な風だ
その風は この国のなにを責めているのか
魂に訊け と問うているのだろうか
風は 崩壊を美しくする
という囁きが 聞えるのだが


6:崩壊 その2

まさか 地球に
悪意があるとは思えないのだが
怒りの波が引いていった後に
犬さえ おろおろ歩いている
向かい風は
いつまであの地に吹き続くのだろう
余震の数は
もう覚えきれなくなってしまった
もういい もう分かった
風よ きみは崩壊を美しくできるのか

 

 今朝、NHKのテレビ番組「あさいち」で、福島県南相馬市で被災した郵便局長・高橋さんがつぶやくようにいった言葉が胸に響きました。高橋さんは放射能の危険の中で妻と娘を神奈川県に避難させ、ご自分は単身現地にとどまって休みなく業務と取組んでいます。処理すべき厖大な郵便物の処理対応に追われています。

 その高橋さんはこういったのです。「折角、生きているのだから。・・・・。乗りこえていかなくては」。そうです。ぼくたちは、折角生きているのです。だから。そう。なにか意義のあることをしなくては。

 高橋さん、ありがとうございました。(A) google down Switonperkerbti

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